先日、弊社社長の矢島と私(マネージャー佐々木)は、元日産自動車COO(最高執行責任者)の志賀俊之さんと意見交換をさせていただく貴重な機会を得ました。
ご多忙な中でお時間を賜りましたことに、この場をお借りして改めて御礼申し上げます。
当日は、SDV時代の到来、人材育成、そして日本企業が直面する組織上の課題など、多岐にわたるテーマについて、示唆に富むお話を伺うことができました。
ここでは、その中で印象に残った点につきまして、私自身の視点も交えながらご紹介いたします。
1. SDV時代においてこそ、日本の「高耐久・高信頼品質」が強みになる
現在、自動車業界はSDV(Software Defined Vehicle:ソフトウェア定義車両)への移行という大きな転換点を迎えています。
OTA(Over The Air)によって、購入後も継続的に機能が進化していく車両が一般化していく中、志賀さんが強調されていたのがハードウェア耐久性・信頼性の重要性でした。
ソフトウェアが5年・10年と更新され続けるのであれば、その基盤となるハードウェアには、それ以上の期間に渡り安定して機能し続けることが求められます。
すなわち、ソフトウェアの進化を支える前提として、揺るぎないハードウェア品質が不可欠であるということです。
近年は、グローバル競争の激化によりコストダウン圧力が高まり、高品質部品に十分なコストをかけにくい局面も増えてきました。
しかしながら、高耐久・高信頼を支える部品技術や製造品質こそ、日本のモノづくりが長年培ってきた大きな強みでもあります。
日本がこれまで築いてきたハードウェア技術の蓄積に、AIをはじめとする先進ソフトウェア技術を掛け合わせていくことができれば、日本の自動車産業は今後も十分に競争力を発揮できる――。
そのような示唆に触れ、改めて日本のものづくりの底力と可能性を強く感じました。
2. 人材育成の強化が、AI・半導体分野の競争力を左右する
優れたハードウェアを活かすためには、それを支える半導体技術やAI技術の専門人材が不可欠です。
こうした中核分野を海外に依存し続けるだけでは、日本独自の競争優位を築くことは難しいという課題があります。
これについて志賀さんは、サッカーや卓球など、近年の日本スポーツ界の躍進を例に挙げられました。
世界で成果を上げる選手が増えている背景には、全国各地で才能を早期に見出し、継続的に育成する仕組みが整ってきたことがあります。
すなわち、人材の「裾野」を広げることが、将来の競争力につながるという視点です。
同様に、半導体やAIの分野においても、大学・研究機関・企業が連携し、地域ごとに人材を育てる仕組みを整備することが重要です。
加えて、奨学金制度や研究支援策を充実させることで、優秀な学生が専門分野へ挑戦しやすい環境をつくることも求められます。
私自身、このような育成の仕組みが広がれば、日本の産業競争力の強化に加え、地方創生にも大きく寄与する可能性があると感じました。
3. 日本の競争力回復を阻む「意思決定」の壁
今回のお話の中では、日本企業の意思決定の遅さについても印象的なご指摘がありました。
志賀さんは、「日本企業は、意思決定のための会議が多すぎる」と述べられました。これは中国企業の方からも良く聞く課題です。
変化のスピードが極めて速い現在において、何かを決めるために何度も会議を重ね、数カ月先の役員会を待たなければ前に進めないような体制では、市場環境の変化に迅速に対応することは困難です。
技術力そのものが高くても、それを事業や競争優位に結びつけるまでに時間を要してしまえば、機会損失につながりかねません。新興企業の強みはトップダウンによる迅速な意思決定であると感じます。
日本の強みである技術力を最大限に活かすためには、それを受け止める組織側にも、より高いスピード感と柔軟性が必要です。
今後は、技術開発だけでなく、意思決定の仕組みそのものを見直すことも、競争力回復に向けた重要なテーマであると改めて感じました。

ブルースカイテクノロジー(株) マネージャーの佐々木(右)
おわりに
今回の意見交換を通じて、日本が本来持っている強みを改めて見つめ直し、それを次世代技術や迅速な意思決定と結び付けていくことの重要性を再認識いたしました。
ブルースカイテクノロジーとしても、日本の自動車産業のさらなる発展に向け、技術・人材・事業の各側面から価値を提供し、微力ながら貢献してまいりたいと考えております。
今後とも、ブルースカイテクノロジーをどうぞよろしくお願い申し上げます。
今後も電動車や電動化に関する解説記事を、できるだけ多くの人に分かりやすく、客観的な視点で掲載していきたいと思います。
取り上げてほしいトピックや、解説に関するご意見などありましたら弊社HPやLinkedinにてコメントいただけると幸いです。
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この記事を書いた人
佐々木裕介
ブルースカイテクノロジー(株) マネージャー
